余白をつくり余情を感じる

NHKスペシャル「私が愛する日本人へ ~ドナルド・キーン 文豪との70年~」(2015/10/10)をみた

キーンさんの長年にわたる日本文学、日本人研究の内容がよくわかる楽しい番組でした。

 

ノーベル文学賞の推薦過程は50年後に開示されるというのを他の番組でしりましたが、キーンさんは1963年にスウェーデンアカデミーからの依頼で推薦したのは日本の年功序列文化も考慮して谷崎潤一郎川端康成三島由紀夫の順だったと回顧していたことにびっくりしました。

 

色々な文豪との対談で印象に残ったのは小説“雪国”での表現のあいまいさをキーン氏が指摘、質問した際に川端康成氏が日本人は余白、余情を理解し大切にしており、その表現をしていると言うことだった。

日本人の芸術には余白、余情はつきものであり日本人には、それを感じとる伝統的な文化が継承されているとの見解でした。日本の絵画にもその感覚を大いに見出すことができ共感できる見解でした。

 

キーン氏はまた日本人の特徴を“曖昧(余情)、はかなさへの共感、礼儀正しい、清潔、よく働く”と表現されていました。311以降に日本から去っていく外国人のなかで、米国での全てを清算して日本国籍を取得し、日本に残ったキーンさんならではの見解でした。

 

番組の最後にキーンさんは“だいだいにおいて、日本は良い方に来たと思う。しかし自分たちの伝統に興味がないということは、ひとつの弱点だと思う。一番良いことは過去のものの良さを勉強して、知るようになって、自分のものにして、自分がそういうものから特別な愉しみを得ること。伝統は時々隠れている、見えなくなる。しかし流れている、続いている。それは日本の一番の魅力だ”と結んだ。私もキーンさんのように日本のココロの探求をしていきたいと強く思わせて頂いた番組でした。