ソーシャルアートビューの幸せ。

山口蓬春さんの “耕牛“ を対話型グループ絵画鑑賞(SAVと略します:ソーシャルアートビュー)しました。

 200号はあろうかと言う大型の日本画です。

MTさん(視覚障碍者)は部屋の中で大きな画なんだよね?とききました。
Hさんは部屋の中で一番大きな画ですとこたえた。

Yさんは画面右下の“どくだみの白い花“に気づきMTさんに伝える。
Mさんは牛の毛並みや若い牛か?年を重ねた牛か?をたずねた。
Tさんは若い牛が農耕作業から解放され佇んでいる感じかなと答えた。
Iさんは今一度牛の顔の方向や尻尾の方向そして角の話を伝えた。
Mさんは水辺と空の境目はあるか?どれくらいが空でどれくらいが水辺?とたずねる
Mさんは3分の1は水辺で3分の2は空っぽいが境目はぼかしでみえないと応える
Kさんが紙が折れたような白い縦線や牛の顔の下の水辺の白い点を発見。
 


 皆でこれは何だろう?と一斉に考え・・・あちこちで“あっ雨だ・・・“
水田で農耕作業をすませた若い働き牛が佇んでいるシーンなのだと皆が物語を
自分の頭のなかで考えていった瞬間でした。


 画家の伝えたかったコトまでも皆が夫々にイメージし紡いでいきました。
私は対話促進者の立場ながら、この画の印象をこのようにまとめました。


 小春日和の水田で柔らかく、生あったかい雨がここちよく、労働のあとに
牛さんが優しく、精一杯働いたんだ・・・。少し休憩して、また元気に働こうよ!
とみる人に訴えかけているように感じました。


 視覚障碍者のMさんの息づかいや表情の変化。何かをイメージ出来た時の皆さんの
明るい笑顔が印象的なSAVの幸せな瞬間でした。

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